春日井ボンのボンかすLIFE

春日井ボンのボンかすALONE

日本人バヤニストの生活と日々

求心力

30歳で音楽をやめてから思ったことは、求心力がなくなったということだった。僕のそのころの音楽活動とは人に聴いてもらうことだったから、注目をされるように動いていたんだ。

 

音楽活動をやめたら、ある部分は自由になったが、それはほっとかれる自由のようなもので、自分が空気になるかのような気分だった。それが気楽だったりもするけど、求心力がなくなっていくのに気づいて精神的にも老けたと思う。ちやほやされたいというのとは違う。そんなもんは求めてない。おそらくはよく言われるように、見られる側でいることで精神的にも体力的にも活発になにか磨かれていたのだろう。

 

アーチストという言葉にはいろんな側面があると思う。でも唯一、必須であることは、なにかを作ること。その意味では僕は根っからのアーチストではないでしょうか…。演奏だけをする、つまり演奏の技能を高めることだけにはそれほど魅力は感じない。それは得がたい能力で、時間をかけたトレーニングとセンスの賜物だとは思うけど、それよりも、自分がこの世にひとつだけしかないものを生み出すということの方がスリリングだし刺激的だなぁと思う。その感動は言葉にできない。

 

まだ誰も、連れさえも気づいていないと思うけど、僕が音楽をやるってことは、きっと求心力を取り戻す作業に他ならないと思うんだ。ちやほやされるとかもてるという意味ではまったくない。批判されたり嗤われたりすることも含めて、人の前に立つという意味だ。