春日井ボンのボンかすLIFE

春日井ボンのボンかすALONE

日本人バヤニストの生活と日々

動画アップしました!(18)

V-Accordionのオリジナル曲、18曲目をYouTubeにアップしました。

 

春日井ボン - Oyascivo (original)


Bon Kasugai - Oyascivo (original) V-Accordion FR-1xb Solo

 

曲自体は何ヶ月も前に出来ていたけど、いいタイトルが思いつかなかったのとずっと編曲し続けていたので公開に時間がかかった。元々はマルコ・ポーロを題材にとった仮想の民俗音楽(未公開)の作曲の過程で作ったフレーズが気に入ったのでそれだけ取り出して他のパートを作り、別の1曲として作ったもの。

 

楽曲としてはソロ楽器での演奏としても展開としても自分が作曲した曲の中で今までで一番、完成度が高い。聴く人がいいと思うかは分からないが、存在してもいいとは思ってくれるだろう。完成度が高いとは、そういうことだ。その意味では満足している。公開して肩の荷が下りた。

 

タイトルは結局、思いつかなかった。前曲の「Curoscivo」以上の完成度とあって、前曲での奇跡的なネーミングを超えなければいけないと思っていたら、本当に何ヶ月も思いつかなかった。結局、これは禁じ手を使った。CuroscivoはWikipediaにも載っている(項目としてではなく項目内の説明として)イタリア語化された黒潮のことだが、それに倣っての親潮のことだ。なぜか黒潮と違ってイタリア語化された表記がないのだが、それはもう勝手に作った。そういう表記や発音はあり得ないと言われたら直すけど、イタリア語が分かる人とコンタクトが取れれば聞いてみよう。候補は前曲ほどは出なかったがそれでも20以上は考えた。英語表記だとあるけどそれをそのままイタリア語にしたタイトルだとこの世にない表現、というのは多数あった。でもこれだというものはなかったのと「単語ひとつ」(前置詞などを使わないタイトル)がどうしても捨てがたかったのでそうなった。

 

イタリア語のタイトルにしているのは言うまでもなくこの連作の主人公マルコ・ポーロに敬意を表してのこと。ただし僕はイタリア文化とかイタリアの歴史とかを装ったりそのまま表現しようとしたのではない。すべての曲に共通するが、あくまで根底にあるのは、文化の多様性や衝突、混合にこそ価値があるという考えだ。たまたまヴェネツィアの商人の子として生まれたマルコ・ポーロがアジアを旅しそこに長期間滞在し、また彼を受け入れたアジアの人々がいたことに僕は一番の興味を抱いている。だからこそ、よその文化である日本語の単語をイタリア語化したものをタイトルにしたかった。例えば日本語の「ボルシチ」は、本来のロシア語の発音で言うとボーリシシュみたいな表記が近い。だけど日本人が発音しやすい「ボルシチ」になったのは、日本人がロシアの文化を受け入れたという証拠と言える(もっと詳しく言うと今はロシア料理と言われているがウクライナや東欧あたりにルーツがある料理らしい)。それと同じように、「イタリア語以外の言語由来のイタリア語」をタイトルにすることで文化の受容をタイトルにこめたかった。ということでゴールは結局ここに来たのは致し方ないかなと思っている。

 

まぁでも終わったことだ。基本的にはタイトルは一度つけたら変えない。それがもっとも大事なのはリリースする時なのであって、後ではそれほど重要ではない。せめて、タイトルにふさわしいスケールの大きい成長を遂げてほしい…とこの曲について思うのです。

 

この曲は僕にとって非常に大事で、きっとこれからいくらでも演奏の機会があるだろう。大事に演奏していこう。