春日井ボンのボンかすLIFE

春日井ボンのボンかすALONE

日本人バヤニストの生活と日々

曲想

昨日正式採用した部分を加えて、新曲は最初の完成となった。全体を通して弾くと、いったいこの曲で何を表現したいのかな、ということが自分でもようやく分かる。僕は未熟なので作っている最中は自分のことを考えるばかりで、そこになかなか到達できない。曲がある程度完成して、通しで弾いて、「他人が作った、どこかの国の曲」みたいに客観的に曲を味わうことができるようになる。そこで注意すべきは曲想である。

 

曲想とは簡単に曲のテーマや構想とか言われるのだが、調やテンポ、強弱や奏法などあらゆる部分で曲を統べるもの、だと思っている。ちょっとネガティブだが、曲を縛るもの、と言ってもよい。どんなに美しかったり魅力的なフレーズであっても、曲想が違うものをつなぎ合わせても違和感が満載になる。「Merry Christmas, Mr. Lawrence」(戦メリ)に「ルパン三世のテーマ」を繋げても変だろう。敢えてガクっと違うものをはめ込むという作曲法もあるでしょうが…そういうアヴァンギャルドなものは基礎を極めてからにしよう。曲想が違わなければ、雰囲気を変えたフレーズを差し込むこともありだと思う。

 

それは曲想に合致しているかどうか?がABCDと展開が変わっていく曲の良しあしを決める。今回最後に決まったトリオも結局は鼻歌だ。ただ鼻歌で考えて楽器で弾いて和声を付ける時に工夫が出来て、少しずつ手先の部分は変わっていく。でも鼻歌で考えた時と曲想が変わることはない。今回は主旋律が歌っぽいメロディーだったので、日本語の歌詞でそれらしい単語を繋げて歌ったりした。歌詞を書いて歌にする気はないので適当だ。「あの時の~約束は~」みたいな感じで。そうすると自然にトリオは何十個もできた。そのうち一番いいものを採用した。

 

通しで弾くとなんとなく感情の起承転結が想起されて面白い。映画を観るように、思い出に浸るように。我ながらバカだが、美しいなと思う瞬間が何秒も継続するのは楽器弾き冥利に尽きる。こんな美しいメロディーを歌ってしまうなんて勿体ない、大好きなバヤンで鳴らしたい!と思ってしまう。