自分に起きたかつての辛く困難な時期を思い出すと「今はあの時よりはマシだな、ありがたく思わなきゃ」と感じることはよくある。たぶん1か月に1回ぐらいは思っている。だが、自分ではなく他人に起きている大変な状況や不幸な出来事を見ても「あの人より自分はマシ」とは思えない。仕事や職場に大いに不満はあっても、コロナ禍で閉店せざるを得なくなった飲食店のオーナーを見て「あの人よりマシ」とは思わない。健康に不安を覚えることもあるが病気やケガをした人を見て「自分はマシ」とは思わない。だから同時に「自分は(あの人よりはマシだから)幸せなんだ、ありがたい」とは思わない。これも主観とは言え、自分より明らかに辛い境遇にあるような人や状況を見て「(自分は)ありがたい」なんて思わないのだ。なぜだろう。
すべては紙一重のように思える。自分の過去については比較対象になるが、ほかの人や状況と自分を比べることはできない。ほかの人に起きることは自分に身にも起きる可能性のあることだ。すべては対岸の火事ではない。
時間はあるようでない。芸術にも完成はない。少しでも完成に近づけるよう、今のこの時間を使っていこう。