忘れられないほど奇妙な夢をみても、残念ながら話せるような相手はいないので、ここに書くことにしよう。そもそも他人の「こんな夢をみたよ!」という話を聞いてくれる人などいないのではないだろうか、若いカップルでもなければ…。いや、年は関係ないか。自分の色眼鏡で人を見てはいけない。見た夢の内容を話せる相手がいる人は、いいですね。
夢の中で僕はオバケになっていた。カタカナで書くのは、まるでオバQのように白くてふわふわで漫画みたいな姿になっていたからだ。雲の上で、僕は何人かのオバケと話をした。その中に、姿はまったく違うが、小学校時代の名前なんかもう分からないけど記憶にはくっきり残っている同級生がいた。オバケなのだからお互いもうあの世にいるということなのかな。この人に何かあったのかなぁと気になった。ただ、転校で数か月だけ通った学校の同級生なので卒業アルバムなどで名前を調べることも出来ない。長い時間この人と語らった。相手は「実はあの時、こういう風に思っていた」と話しだした。僕も告白した、あの時は…と。最後は笑顔で手を振って、僕は地上に戻った。もうふわふわの姿ではなくなっていた。
僕の脳よ、いったい何があって何十年も前の一人の相手とのちょっとした記憶を掘り起こしたのか。あんなに人と話したのは久しぶりだった。起きた後もしばらく雲の上の無重力のような感覚が残っていた。オバケになったらあんな風にずっと過去を思い出し、共通の思い出を持つ相手が見つかれば語らうという、そんな日々になるのだろうか。少し寂しい朝だった。バケラッタ。