朝方に見た妙な夢の中で、知らない誰かが僕に「人生はタバコのようなものなんだ」と言った。やけに名言らしく勿体ぶって言われたので目覚めてからも強烈に覚えていた。起きてからもそのことについて考えた。
人生は煙草のようなもの。
価値があるのはそれを味わっている瞬間と、後で思い出す記憶だけ。
吸い殻に価値はなく、ただ捨てられるのを待つのみ。
自分を煙草の吸い殻のように無価値さを覚えていたのだろうか。月曜朝と来れば一週間で最もネガティブな気分になっているので、そんなことを思ったのか。確かに自分を無価値に思う時は多い。ただ、夢の中の台詞を強烈に覚えていたのは、むしろ言われた時の僕の感情だった。言われたくなかったことを真正面から言われたような恥ずかしさと悲しさがあった。これが仮に「味のしなくなったチューインガム」だと「誰にとっても無価値」だけでしかないのだが、吸い殻という表現には、それ以上に「放っておいても汚れて害悪のあるもの」という自己嫌悪を感じる。正直言うと、自分は吸い殻レベルに有害で無価値だと自認していると深層心理が語っているのかも知れない。
せめてまだ「吸いさし」であって欲しい。あの味を思い出すだけが人生だ、と言うにはまだ早い気がする。