ボンかすLIVE

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眠れるビジカジ侍

ジャズ

連れとバーに行った。もしかしたら、いやもしかせんでも何かのきっかけになる日になった。

 

昼間は高速で少し離れた観光地にドライブ。ビンテージ物を扱うというアンティークショップで連れがいいテレビ台になりそうな家具を見つけた。アクセサリーを並べている台だったがよく見ると3,500円だった。不思議なことに天板の裏は朱色のペンキで塗っている。外目にはふつうの無垢材で組み立てた台のようだが…朱塗りになんの意味があるのだろう。僕の勘では神社で使っていたものが流れたと思うがどうだろう。そんなことはないかな。

 

夕方に帰ってきて、ふたりして重なって少し眠ってしまった。20時を前にして料理も楽しめるというバーに行く。僕の誕生日祝いなのだ。自宅の近くにあって、つまりここに来てからもう12年だからその間ずっと毎日その店の前を通っているのだが、なぜか入ったことはない。バーはなかなか敷居が高い。

 

思い切って入ってみてまずその広さに驚いた。事前に食べログで調べていたけど、こんなに広いとは思わなかった。いや、狭いと言えば狭い。アンティークな普請は僕の好みだった。連れも気に入ったようだ。

 

カクテルを飲みながら、待つ。毎週土曜日にジャズのライブがあるという。僕らはライブチャージの安い2階にいたが、となりのテーブルで喋ってた男性が、実はベーシストだった。この日はテナーサックスとアコースティックベースという変則的なデュオの演奏。40分ほど酔いに包まれながらジャズと呼ばれる音楽を聴いた。2階とは言え店は吹き抜けになっていて、ステージは見えなかったものの、音はよく聞こえる。マイクはあるようだがサックスは殆ど生音のようだった。

 

前にこのブログで、なぜ年を取るとジャズの道に行き着くのか疑問に思ったことを書いた。それについての僕なりの答えが出た。年をとると言葉にはできない感情があるからだと。

 

連れが「ジャズってなんなの、ある曲をジャズっぽく演奏すればジャズなの?」と聞いてきた。僕はよく分からなかった。ジャズっぽい音階やジャズっぽい演奏はあるだろう。でもそれは定義なのだろうか?

 

いまでは分かる。ジャズには定義がない。演奏者がジャズだと主張すればジャズなんだ。ジャズで大事なことは「新しいことをすることだ」とする意見を見つけた。その言葉が僕を勇気付けた。

 

どういう場所で、どういう音楽を演奏するのか?

 

20代の僕は屋外や屋内のステージでバヤンで伴奏して、歌をマイクで増幅させて唄っていた訳だが、正直なところ、そのスタイルで40代の僕が今からライブをしているイメージがなかなか浮かばなかったのが何ヶ月も楽器の購入を躊躇している理由だった。

 

ジャズに定義はない。演奏者がジャズだと主張するものがジャズなのだ。ならば僕はジャズ・バヤニストになろうかな、と思った。

 

ためしにGoogleで「ジャズ・バヤニスト」でぐぐると、検索結果はわずか4件!で、そのすべてが同サイトですべてウクライナのバヤニストのボリス・ミロンチュク氏のことを書いた記事だった。ただし記事中に「ジャズ・バヤニスト」という単語は出てこない。ちなみに語順の完全一致で検索すると結果は0件である。

 

ロシア語で検索してみる。джаз-баянист(ジャズ・バヤニスト)では約168,000件、語順の完全一致では59件だった。つまりは、ロシアで自分はジャズをやっている!と主張したり目されてるバヤン奏者が(あの広いロシアで)ほんとに稀に存在するようだ。

 

そこで、バヤンで演奏しているジャズとされるものをYouTubeで聴いてみた、んだけど、どうも僕のやりたいものと違うんだよなー。ソロでやるピアソラのような曲が多かった。ピアソラは好きだけど、うーん。どうもヴィルトゥオーソと呼ばれる超絶技巧の達人が早弾きしている様相の曲が多かった。うーん。あ、そうだ、だから僕は僕の音楽をやればいい。そういう風に思った。

 

デジタルアコーディオンなのにどこがバヤンなのかって?それは配列がB配列バヤン型であって、僕はそれしか弾けない訳だから、すなわちボタン配列を設定できるV-Accordionであっても僕は間違いなくバヤニストとしか言いようがない。

 

歌モノをやっていた頃、「アコーディオンじゃなく普通のバンドでやればいいのに」とよく言われて無力感に陥った話を以前の記事で書いた。普通じゃなくて悪かったね。ジャズはきっと違う。間口も深さも大きいはず。もう闘う必要はない。もう迷わなくていいんだ。

 

夜が更けた。近くで音楽が聴けたのは楽しかった。歌ではなく、ステージ音楽でもなく、バーのBGMとしての音楽だった。それはなんとなく、心地よかった。歌だったらちゃんと聞かなくてはいけない。一人ひとりが好きか嫌いかの判断を求められる。でもBGMとして流れる音楽もいいじゃないか。深めたい。なんでだろ、すごく現実的で、でも将来が明るく思えたんだ。ジャズだと言えば、ジャズなんだ。大事なのは新しいことをすることだ。

 

今日は二重の意味で僕の誕生日となった。