春日井ボンのボンかすLIFE

春日井ボンのボンかすALONE

日本人バヤニストの生活と日々

速く、軽く

バヤンの弾き方として、右手のボタンを押す強さは、音の強さ(ヴェロシティ)にはほぼ影響しない。ピアノのように音の強弱を表現できる楽器ではない。さて、ある時、右手ボタンを非常に軽く、まるで撫でるぐらいに軽く押して弾いた時に今までなかった音楽が鳴った。単音の違いではなく、躍動するような表現の音楽になった。試してみると、速いパッセージの時ほど効果がある。スローな曲ではあまり効果がない。そうか、こうして弾くのかバヤンは笑。

 

きっと今まで強く押しすぎていたのだ。失敗しないように、正確に、押すべきキーを押すという意識が、押しすぎに繋がっていたのだろう。考えてみると、冒頭に書いたように強く押すことによる音の違い自体は特にないのだが、強く押しすぎることによって、次の動きに移るのにスムーズさが欠けてしまい、ぎこちない音楽になるのだ。流れが阻害されるというか。そうか、軽く弾く楽器だったんだな。楽器個別に違いはあるだろうけど、V-Accordionも同じだろう。

 

弾き方によって、「音を鳴らす」と「音楽を弾く」の違いぐらい差がある。僕は音を鳴らすのではなく、音楽を弾きたいと思う。

 

速く、軽く。それでいて押す場所を間違えない。そうやって弾くバヤンは、きっと前より美しく奏でることができる。弾き方というのは色々試してみないと分からないものだ。逆に言うとようやくこの違いが分かったということか。僕が分かっているのはこの楽器のまだ氷山の一角に過ぎないのだと気づいた。