春日井ボンのボンかすLIFE

春日井ボンのボンかすALONE

日本人バヤニストの生活と日々

釘隠し

新曲ではない過去に作曲した曲を、リテイクに向けてアレンジしつつの練習を続けている。今日また一部変えたところがある。何度か同じ音型が場所を変えて出てくるという趣向。複雑だけどシンプルだ。ある一定の命令に沿って構成されているようで、クラシックのような形式美を感じる。作った本人であっても大分後になって曲の中に隠された形式を見つけることがある。

 

日本建築で釘隠しという装飾がある。構造上、表にでてしまう釘を隠すという実用面もさることながら、後世になるにつれて釘隠しそのものが意匠を凝らした装飾になっていった。僕はこれが好きだ。電子音楽ではない楽器での作曲もそれに似ている。表現上どうしても邪魔になりそうなものを装飾に変えてしまい、それ自体に意味を持たせて見栄えをよくする。細部へのこだわりというやつだ。

 

編曲やリテイクは、出来上がった家屋の外側は保持しつつ部屋の内装を直す作業みたいなもの。二つの部屋を一つの大きな空間にまとめてみたり、悪目立ちする釘に釘隠しをつけてみたり…。いま必死でその釘隠しの装飾を彫り、磨いている。作品の価値を高める行為だと思う。新曲を作るのも楽しいが、これも悪くない。