春日井ボンのボンかすLIFE

春日井ボンのボンかすALONE

日本人バヤニストの生活と日々

僕のバタフライ・エフェクト

僕がバヤンを弾いているのはたまたまロシアでこの楽器を見かけたからなのだが、なぜロシアに留学したかと言うと当時の国際政治の激動に大きな影響を受け、新聞記者になるべく外国語をひとつマスターしようというのが理由だった。世界史の激動の中心に居た僕のヒーローはゴルバチョフ氏だった。

 

なんでロシア(なんか)に行ったの?と訊かれた時、ある程度以上の年齢の日本人には「当時、ゴルバチョフと話したかったからさ」と言えばなんとなくは理解してくれる。だが数年前、仕事で出会った20代のロシア人に同じ質問をされた時に熱っぽく説明してみたが「あぁ、教科書で見たことある。よくは知らないけど…そんなに好きだったの?」と控えめに返された。人柄がどうと言うより、政治家はいつの世も人生そのものが評価の対象でしかなく、その内容は国や立場によってまったく異なるものになる。

 

彼がいなければ東欧の民主化ソ連の崩壊も10年以上先だったかも知れない。あの激動がまさに僕の学生時代だったから、僕は若者らしい好奇心と無謀さを持ってロシアを目指した、彼と会話をするために。その目標は叶わなかったが、留学は僕の人生の多くのことを変えてくれた。いまバヤンで毎日作曲をして演奏を練習しているのもその一つ。それは彼から僕へのバタフライ・エフェクトだ。

 

世界中に大きな影響を与えたゴルバチョフ氏が亡くなった。どうか安らかに眠られますように。