春日井ボンのボンかすLIFE

春日井ボンのボンかすALONE

日本人バヤニストの生活と日々

不老

今回の曲、8分の6ぽくない純粋なワルツなのだが、奏法に気を使う箇所が多い。スラーとスタッカートの違いをしっかり出さないと平坦な演奏になる。

 

スラーは納豆が糸を引くように指を滑らせて、スタッカートでは上半身全体の力で跳ねて弾く。しかし、20年を経てバヤン演奏を再開して7年でようやくこの段階とは。7年ということは10歳で楽器を始めていたら17歳だが、それでこの進捗だったら下手過ぎて才能がないことを嘆いてやめていたかも知れない。でも若くない僕は今、逆説的に不老になった気分でいる。だから楽器をやめることはない。不思議な言い方になるが、もう「ちゃんとした」大人にはなれないのだ。そう、「もう」なれる気がしない。だから何にでもなれる気分なのだ。心の中がまるで子供のように初々しい。楽器の鍛錬をしなければきっとこの気持ちにはならなかっただろう。

 

この曲は小品でありながら、僕に色々なことを思い起こさせてくれる。いい曲だ。音楽を作るとは楽しいことだ。